日本に自生している香りのよい白い花「梅花空木」
フレグランス&コスメティックコンセプター 新井 幸江(2013.09.05.)
3年ほど前、土と香りのある植物と共に暮らしたいと、東京から伊豆の修善寺へ生活の拠点を移しました。
ポタジェのように自由奔放な自家菜園の周りには、ラベンダー、ローズマリー、セージ、カモミール等・・・
少しずつ香りの原料となる植物も育てはじめています。
ラベンダー(写真:季節の花300)
カモミール(写真:季節の花300)
エヴァリュエーターとしてジュネーブで勉強していたころ、恩師が「香りの仕事を続けていくならば、香りのある植物から直接教わることが基本だから、植物が身近な生活を送ることがとても大切です」とおっしゃっていたことを懐かしく思い出しながら、ランチのパスタやケークサレ等、ハーブを使うキッチン生活も60歳を前にチャレンジしています。
また、伊豆半島は植林されていない広葉樹林が多く、犬との散歩コースには、四季折々の香りのある植物が多く自生していることに驚かされました。その中から、ホワイトフローラルの花を少しずつご紹介していきたいと思います。
初回は「梅花空木(バイカウツギ)」です。
一年を通じて居住していなければ、気が付かなかっただけかもしれない野生種の花々は、短い開花時期にもかかわらず、凛とした香りを解き放ちます。皆さんの周りにも、香料原料に取り上げられていない植物でも、多くの「美しい香りの植物」がきっとたくさんあるはずです。
春先に香ってくる野生のバイカウツギ
ウツギ(空木)(ユキノシタ科ウツギ属) 日当たりのよい林縁や道端に普通にみられるウツギ。
旧暦の4月を「卯月」というのも、この花が咲く季節に由来するといわれます。
「夏は来ぬ」「卯の花の匂う垣根に~」に歌われている卯の花はウツギです。
http://www.youtube.com/watch?v=nPNE-mFX8-8
早朝の散歩で気が付いたことは、小さな白い5弁の花が房のように咲く通常のウツギより、バイカウツギ(梅花空木)という花弁が梅の花のように大きいほうが強い香りを発するということです。
調べてみると、ユキノシタ科のウツギには多くの種類がありました。
ウツギ 若い枝は褐色を帯びて毛があり、花は下を向いている
ヒメウツギ 若い枝は緑色で無毛、花は上を向いている
ウラジロウツギ 葉の裏が白い
マルバウツギ 葉が太く丸い
バイカウツギ 花が大きいのと、その付き方も他のウツギと違います
ウツギの材は固く、木釘として、鍬として神事に使用したようです。柑橘にも似たフレッシュなトップノートと、ホワイトフローラルの持つ独特のグリーン感が素敵で、一枝持ち帰り玄関の花入れで1週間ほど楽しみました。ウツギ(空木)の名前の示すとおり茎の髄は中空でした。(笑)