グラス便り 4章

グラス便り 4章 研修生-その2

 

 21世紀に入ってからグラスに香料の勉強に来る人達のタイプが変わります。

 香料会社からの研修生はなくなり、その代わり、香りが個人的に好きで是非調香師になりたくて来る若い人達になりました。これはグラスに誰でも入ることの出来る香料学校GIP (Grasse Institute of Perfumery)が出来、初めて可能になったことです。今までは香料の研修機関としては各香料会社の研修組織だけしかなかったのでその香料会社の得意先でなければ入ることはほぼ不可能でした。GIPが出来てからあらかじめの試験はありますが、それを通れば1年間香料の勉強が出来るわけですから以前とは全く状況が変わりました。また懸念していた就職率も思いのほか良く、殆どの卒業生が無事香料会社に就職しています。

 

 

   

     GIP建物外観(GIP提供)

   

     GIP建物内部(GIP提供) 



 

 昔の香料会社からの企業研修生の人達は既に調香師としての肩書きがある人、将来香料会社を継ぐ人でしたので、既に所属している企業の中での発展しか考えられませんでしたが、最近フリーの立場で来る新しい人達は最初から香水専門の調香師を目指し企業からの研修生はその殆どが男性でしたが、フリーでGIPに勉強に来る人達は大半が女性である、という点も新しい傾向でしょう。

 

 きっとこの新しい世代が私達香料会社出身の世代と異なった人材として新しい香りの市場を創っていくことでしょう。今フレグランスの世界が香水やトワレだけでなく、ホームフレグランスという形で新しい形を見出そうとしています。グラスで勉強した若人が今後の香りの世界を変えていくことを望みます。

 

   GIP長期コース研修生2020年(GIP提供)

 

    GIPラボ内部(GIP提供) 

 

   GIPラボ内部評価風景(GIP提供)