熱帯雨林に咲く巨大花:ラフレシア(RAFFLESIA)

エコールドパルファン学長 森田 洋子(2015.10.)

 

 

 ラフレシア開花時の臭いについて。スマトラ島 Krinci Seblat国立公園に現地営林省の許可のもと、二度に渡り入山。早朝出発したホテルに戻れるのは、真夜中のこと。そんな日々を繰り返しながら、道なき道を歩き、命綱を巻き付けたことも。衣服についた数知れぬ位のヒルとの闘い。ジャングルで足止めされ、帰国の航空券を没にしたことも。花に出会うまでのそれはまさにラフレシアの花言葉のように「夢現」の世界でした。

 

 そんな過ぎたなつかしい時間が再びよみがえるかのように、ご連絡いただき自然史博物館や国立博物館でラフレシアの花と香りが思いがけず展示されたのです。

 

世界最大の花 ラフレシア

 

学名:Rafflesia R.Br.

キントラオノ目:Malpighiales

ラフレシア科: Rafflesiaceae

ラフレシア属: Rafflesia

 

 ブドウ科のミツバビンボウカズラ属の植物組織の中にひそんでおり、菌糸の様な姿で根に寄生する。

 

 約20-50種のラフレシアが存在するといろいろな説がある中で、

最大の花をつけるのがラフレシア アーノルディ。1m20cm~1m50cm、重さ10kgに及ぶものもある。

 

 

 


 

 葉が無いため、葉緑素を持たないので栄養補給の心配がない。そのため、花という生殖器官に、全てのエネルギーを費やすことができ、このような大きな花になったと考えられる。

 

開花・受粉まで

 

 

開花に必要な栄養分を宿主から奪いとり、                     ゆっくりと膨らんで大きくなった花は、地面に直接鎮座する。

茎も葉もなく、枯葉の堆積した中にいきなり

芽キャベツのようなつぼみを地上部に顔を出す。

 

    

開花までに1年半以上かかり、一度開花すると、   開花した花は、クロバエ科のオビキンバエ属の    花は雄花と雌花に分かれており、雄花の咢からは粘液に

乾季で5日、雨期で10日と、その花の命は短く、  ハエを呼ぶためにたんぱく質が腐った臭いあるいは  包まれたクリーム状の花粉が出てハエの背に付着。

やがて黒く腐ってしまう。                                      雌花に誘引され、花の中に入り込み受粉が成立                                     

 

樹木上でも開花

 

つるに寄生し、大きな木の上で花を咲かせるラフレシアもスマトラ島に存在する。

 

  

 

ラフレシアの臭い

 

ラフレシア開花時の臭いを採取。

採取地:インドネシア国スマトラ島クリンチ・スブラット国立公園内

種類:Rafflesia hasseltii Surigar

 

分析の結果主成分として: Dimethyl disulfide、 Dimethyl trisulfide が検出された。

他に、同時期にRafflesia arnoldii R.Br.も確認。

 

これは、加野氏によって世界で初めての試みである。