日本に自生している香りのよい花「定家葛」

 東京から車で2時間半という距離にもかかわらず、穏やかな里山の多い伊豆では、クヌギやナラ等の広葉樹が多く生息しています。

原木によるシイタケ栽培が盛んですが、全国の例にもれず、農家さんの高齢化が

進んでいるせいか、手入れが行き届かない林も見かけられます。

 人間にとっては少々さびしい限りですが、植物や小動物にとっては逆にのびのびと

育つ環境が増えたのかもしれません。 

前回の「梅花空木(バイカウツギ)」に続いて、道路脇の高いクヌギの樹木に巻き付いて、香りも花も魅力的な定家葛をご紹介します。

マーケター&エヴァリュエーター

新井 幸江 (2016.05.05)

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ジャスミンを思わせる定家葛の香り

Trachelospermum asiaticum(定家葛):キョウチクトウ科テイカカズラ属のつる性常緑低木。

朝鮮半島〜日本(本州 - 四国・九州地方)の温暖な場所に分布するということで、伊豆半島は寒い環境になるのかもしれません。

ジャスミンや薔薇等、香料原料となる植物は、それぞれの植物が適した環境で多くの精油を含みますが、その植物にとって過酷な環境で育った場合の香気成分は、意外と異なった魅力の違いを持つ場合があるものです。我が家のまわりの定家葛と、西日本で自生する物は微妙に香りが違うかもしれませんが、ジャスミン系のホワイトフローラルの個性を中心に、ややグリーンな要素が強く感じます。

花姿はハゴロモジャスミンに、開花後期には花の色が黄色くなり、毒性があるところはカロライナジャスミンに似ていますね。

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定家葛という名前

定家葛という和名の由来は、能『定家』の悲恋物語を知るとわかります。

式子内親王を愛した藤原定家が、死後も彼女を忘れられず、ついに定家葛に生まれ変わって彼女の墓にからみついたという伝説に基づくものです。

物語については下記の「粟谷能の会」のページで詳しく語られております。

http://awaya-noh.com/modules/pico2/content0333.html

 

花言葉は、「依存」「栄誉」「優美な女性」「爽やかな笑顔」。 

ロマンチックな植物ですが、キョウチクトウ同様に有毒植物ですので、取扱いには注意が必要です。