生活の中に見られる意外な香りや危険なにおい

  私たちが関わっている「香りやにおい」は、化粧品や食品、雑貨類、あるいは工業的用途などで

幅広く利用されていて、私たちの生活に彩りを与えてくれたり、役に立ったりしてくれる大切なものであることは

周知のところですが、「えっ〜こんなものにも香料が使われているの?」と、ちょっと意外に思われるかも

知れない「香りやにおい」について触れてみたいと思います。

普段は意識しない日常製品の香り

実は私たちが日頃生活の中で良く目にするもので意外なもの、例えば鉛筆、墨、インクなどの

筆記具関連製品、医薬品、車のシートやダッシュボードあるいは家具などに使われる合成皮革、

あるいは建材、塗料、各種溶剤といったものにも香りが利用されています。

最近では紙や繊維、金属などにも香りが付けられていたりして、我々の生活をより快適で楽しいものに

してくれています。

例えば墨の独特の匂いというのは、本来の原料の匂いというより、咳止め薬にも使われる

龍脳(ボルネオール)や、インドネシアやマレーシアで取れるパチュリーと呼ばれる植物の葉っぱから

採取した香料等が、秘伝の配合比で混合された「調合香料」の香りに起因しています。

また家具類あるいは車のダッシュボードやシートなどに使用される合成皮革には、皮の香りに非常に良く似た

合成香料であるイソブチルキノリンなどを数種類配合した調合香料が付けられ、天然皮革と見間違うような

リッチな香りで私達の鼻を満足させ、楽しませ、贅沢な気分を味あわせてくれたりしています。

              パチュリ.JPG

               Patchouli(パチュリ)の葉

薬と医薬品

医薬品には内用、外用がありますが、内用で用いられる場合はその製剤の匂いがきつく飲みにくい場合に

香りを付けて飲み易くしたりしてあります。

咳止め薬に使われる龍脳(ボルネオール:古くから用いられてきた香料の一つ)や、ハッカ、バニラなどの香りが

この目的で使用されています。

また香料を採る植物そのもの医学的効果を持つものがあり、健胃剤に使われる桂皮(ニッキ)やアニスなどは

皆さんもご存じかも知れません。

TVコマーシャルなどでよく目にする、皆さん良くご存じのあの胃腸薬の香りは、このような香り成分に

由来しているのです。(CMでも実際に説明していますね)

香りで害虫駆除?

誘引剤とは昆虫や動物の嗅覚に作用して誘引する匂い物質のことです。

昆虫フェロモンが最も注目されている領域ですが、それぞれの固体は各々独自の性フェロモンや

集合ホルモン、警報ホルモンを持っていると言われております。

匂い物質がこれらのフェロモン物質となっている場合が多いのは興味深いものがあります。

例えばシロアリの集合ホルモンとして知られているのは、木の葉や草の中に存在が確認されている

シス−3−ヘキセノール(青葉アルコール)と呼ばれる物質で、色々な食品用香料や化粧品用香料にも

頻繁に使用されている香料の一つです。

忌避剤として知られている匂い物質としては、犬や猫に対するガンマーノニルラクトン

ゴキブリに対するハッカ油シンナミックアルコールなどがあります。

害虫駆除にも香りが大きく貢献している事になります。

安全な生活に役立つ香り

 また一方で、我々の日常生活でとても重要な役割を担っている「におい」も有ります。

近頃何かと話題になっている「食品の賞味期限」(おいしく食べられる期限)。

昔から、口にしたら危険・・という「消費期限」は、飲み物や食べ物が腐ったときに独特の匂いが出て、我々に危険を知らせてくれます。

例えば水が腐ったときに出る臭い匂いの基は、ジオスミン2−メチルイソボルネオールが生成する為

と言われています。物が焦げたときに出てくる独特の匂いは、様々なピラジンピリジンと呼ばれる

化合物が主な原因と言われていますが、実はこれらの化合物はコーヒーやココアなどの香りには

無くてはならない物質でもあります。

 

 調理するときに欠かせない熱源の一つであるガスには、実はある種の匂いが付けられているのを

ご存知でしょうか?実は匂いを付けることで、ガス漏れがあったときに素早く私達に

危険を知らせてくれる役目を果たしています。

DSC_0001.jpg

 本来はガスそのものに匂いがあったのですが、精製方法の改善や無臭性のガスの導入

などで「本来の匂い」が減少して来た為、着臭する事が必要になっています。

ガス臭に使われる匂い物質としてはイオウ化合物が殆どで、メチルメルカプタン

ジメチルサルファイドテトラヒドロチオフェンなどがあります。

これらの危険を知らせてくれる匂い物質は、ごく微量でその威力を発揮してくれる、

極めて閾値の低いものが多いのです。

              臭いぶしっつの嗅覚での閾値図.JPG

 いかがでしたか? 何気ない日常生活の中にも、意識すると多くの香りが役立っているのですね。